ご無沙汰しております。
オンライン国語教室・小論文教室オトモの山田です。
春休みシーズン。
日記や作文の課題に取り組むお子さんも多いと思います。
そのとき保護者の方からよく耳にするお悩みが
・「書くことがない」と言って、白紙の原稿用紙を放置している
・子どもが書いたものを見たら、あまりにも内容が幼くてびっくりした
・子どもの書いた作文に、感想をそのまま伝えたら傷つけてしまった
・子どもに書き方のアドバイスをしたら、嫌がられてしまった
・作文を書き直すように伝えたら、めんどうくさがられてしまった
といったものです。
ご家庭で作文を指導しようとすると
親も子も、やきもきする時間となってしまうことが多いようですね(^^;)
そこで今回は「作文の指導方法」のNG例と改善方法をセットでお伝えしていきたいと思います!
ご家庭での指導の参考になったら幸いですm(_ _)m
作文指導NG例①
親のアイデアをそのまま書き写させる
言葉足らずな子どもの文章を読んでいると
👩「わたしならこうやって書くのに!」
という思いが先立ってしまい、
自分のアイデアを「答え」として先に提示してしまう人がいます。
が・・・これはNG。
自分の言葉ではないものを、自分のものとして原稿用紙に写し書きするのでは学習効果も薄いうえ、
好奇心も刺激されなければ、表現欲求も満たされません。
作文への嫌悪感、徒労感は増し増しに。
「どうせ自力では書けない」
「とりあえず大人の言うとおりにしておいたほうが良い」
という投げやりな気持ちを増長させるとともに
自信の芽をつみとってしまいます。
こうしてみよう!
子どものアイデアを引き出すインタビュアーになりきる
たとえば、お子さんが自力で書けた文章が
👧「今日は遠足でした。楽しかったです。」
の一行だけだったとします。
こんなときは・・・
「どこに行ったの?」
「何、食べた?」
「楽しかったこと、ベスト3は!?」
などと、インタビュアーになったつもりで
お子さんを盛り上げながら、遠足の時のエピソードを聞いてみましょう。
このとき、「作文の原稿を作るんだから、きっちりメモを取りながら聞かなきゃ・・・」
などと、堅苦しく構える必要はありません。
まずは、できるだけたくさんのアイデアを言葉に起こすことを目的として、
急かさず、楽しく、ちょっと話がそれてもいいやという心構えで話を聞きましょう。
お子さんが、いちばん楽しかったと思っていることや、
印象深く感じた出来事が明らかになったタイミングでインタビューは終了。
👩「今、話したことをそのまま書けばいいよ」
というコメントだけ残して席を立てば、基本的には十分です。
会話の後、しばらく経ってもお子さんが書き出すことできない場合だけ
話した内容をもとにした箇条書きのメモを作って、渡してあげましょう。
指導者は書くべき内容を指示するのでなく、
書き手を尊重し、アイデアを引き出すためのサポート役に徹することが大切です。
作文指導NG例②
ねちねちスパルタ赤ペン先生
👩📝「原稿用紙の最初は1マスあける!ここは漢字が違う!ここの具体例もわかりづらいし、ここも、ここも・・・」
と、敏腕編集者さながらに、
端から端まで気がついたことを赤ペンで修正する添削指導。
一見、とても熱心で親切にも見えますが、これもNG。
赤入れだらけの原稿を手にとった時、
添削された側は、とりあえず言われるがまま、機械的に自分の原稿を修正することになります。
この方法でも、作文の体裁は多少整うかもしれませんが、
自分の文章のどこが良くなかったのか、
次回から何を気をつけて書けば良いのか、
書き手がフィードバックを得ることができません。
そのため、
せっかく添削を受けたところで学習効果は薄く、
作文の苦手意識がいつまでも改善されません。
こうしてみよう!
指導の優先順位を考える
これは、どのような指導にも言えることだと思うのですが
相手の誤りや未熟さがいくつも目についたとしても
すべてを指摘することが、相手のためになるわけではありません。
むしろ、客観的な視点から改善すべき点を見極めたうえで
理解しやすいようポイントを絞って指摘することが大切です。
私が作文指導をする時は、作文全体に目を通してから、
まず1番伝えたいことを決め、
それを含む3点ほどに的を絞って、添削内容を伝えるようにしています。
優先順位は
① 内容の充実
② 構成
③ 文法
④ 漢字
⑤ 原稿用紙の使い方
です。
・ 書き手の表現したい内容が読み手に伝わること
・ 次書く時に応用できるような知識や技術を身につけてもらうこと
を目標としたうえで、
そのために大事なことから優先順位をつけて伝えていくことが大切です。
個人的に「漢字」と「原稿用紙の使い方」は
・ 後からでも覚えられる
・ 体裁を整えるためのもので、作文の価値そのものを決めるものではない
と考えているので、優先順位は低めです。
そもそも作文にベストはありません。
書き手が着実にベターへと向かえるよう、役立つ知識や表現方法を一つずつ伝えていきたいですね。
作文指導NG例③
「批評家」になってしまう
👦「おとーさん、さくぶん書けたよー。読んでみて!!」
と、手渡された原稿用紙。
👨「ふむふむ。ここと、ここと、ここを修正したほうがいいな。書き直してからもう一度読ませてくれないか。」
👦💦「…はぁい。」
この時のお父さんは、
ちゃんとポイントを3つに絞って指摘をしたぞ!これで子どもの成長につながるはずだ・・と考えているかもしれません。
しかし、改善すべき点にしか言及しない指導もこれまたNGです。
自分が書いた文章を他人に見せるのは、たとえ相手が身内であっても勇気がいるもの。
そこで欠点の指摘だけをされても、苦手意識が高まるばかりです。
また、「次回から指摘されない完璧なものを書こう」という気構えができてしまうことが書き手の創作意欲を妨げ、
アイデアや感情を率直に表現できなくなる原因となります。
こうしてみよう!
ポジティブな感想を伝えることで、長所を伸ばす
書き手の表現欲求を促し、良いところをすくすくと伸ばすためには
まず、指導者としてではなく「読者」として感想を伝えることが大切です。
「遠足、たのしそう!いいなあ。」
の一言だけでも
書き手は「自分の思いを文章で伝えられた」という安心と自信、
「この表現であれば『楽しさ』が伝わるのだな」というフィードバックを得られます。
「長いすべり台で遊んだ時のことを『すべる前はどきどきしたけれど、すべってみるとさーっと森のなかの風をきる感覚が気持ちよかった』と書いてあるね。
ここに『どきどき』と『さーっ』という言葉を入れているから、臨場感が出ていて、わたしも実際に乗ってみたいなぁってうらやましい気持ちになったんだと思う。この表現いいねえ。」
のように、相手のどのような表現が自分の感情や好奇心を刺激したのかを言葉にして伝えるとさらに良いです。
書き手が自分の文章の長所を具体的に認識することで、次に書く時にも応用がしやすくなるからです。
おわりに
今回は作文指導のNG例とOK例を3つずつご紹介しました!
ぜひ、お家でお子さんの作文を指導する時の参考になさってください。
ではまた(^^)/