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これであなたも暗記名人!エピソード記憶を学習に取り入れよう!

前回記事では「意味記憶」と「エピソード記憶」の違いと、
子どもは「意味記憶」が得意で、大人は「エピソード記憶」が得意だという説明をしました。

今回は実践編。

脳の性質を学習に取り入れる具体的な方法を、実体験を交えながら説明していきます。

「あー、こんな感じで取り入れていけばいいんだ!」

という大枠の理解ができれば、
あとは、アレンジして実生活に取り入れることができるはず!

「エピソード記憶」を利用した学習法①ノートの工夫で、情報を経験に。

まずは、「ノートのとり方」を例にあげていきます!


大人の脳は、「エピソード記憶」が得意で、
覚えたい内容だけを丸暗記する「意味記憶」ことが不得意。

ということであれば、

たとえば、よくある

  • 黒板や教科書の内容を書き写す
  • 大事な箇所にアンダーラインをひく

といった暗記型の学習方法をしていては、効率が悪いですね。


また、
メモを取らずに「写メ」や「スクショ」で記録を取れば十分!
という人がいますが、

「写真をとったなあ」というエピソード記憶が残るだけで、


効率的に記憶したい、着実に知識を身につけたい、

と思うのであれば「ノートをとる」という行為が
それをきっかけに「意味記憶」を蘇らせるヒントとなるような
「特別な経験」として記憶
されるよう、工夫をすると良いです。

以下、具体的に説明していきます。

絵を描くように、日記を書くように、ノートをとる

たとえば、私は学生の頃、
勉強用のノートに
「自由帳」や「方眼紙」を使っていました。

そこに、学んだことだけでなく、考えたこと、疑問に思ったこと、
落書きや、先生の似顔絵、授業の感想や批評、帰ったらやりたいことリスト、欲しい服のデザイン・・・・など

とにかく思いつくままに、書きつらねていました

教科ごとにノートを分けたりもしません。
縦書き、横書き、字の色や大きさもその日の気分次第です。

当時はもちろん、脳科学や記憶法に関する知識など無かったですし、
いろんなノートを持ち歩くのが面倒くさい、
というズボラな性格がこのようなノートのとり方を始めた最初のきっかけではあるのですが、

実際にこの方法でノートを取り始めると
あらかじめ一定の幅で線が引かれているノートに
必要な情報のみをまとめるよりも
記憶に残る、という実感がありました。

ノートをとった経験が、エピソード記憶となる

このようなノートのとり方をしていると

たとえば試験の時にも

「あー、1917年にロシアで何が起きたんだっけ?そういえば、ロシア革命について勉強した日、ノートの端にうさぎのイラストを描いたなあ。あの日は前日に徹夜をして眠かったから絵を描いてごまかしたのだった・・・。授業を担当していた先生の白衣が赤く汚れていたなあ。それでいて「血の日曜日事件」などと言うからちょっと怖くて・・・」

と言った具合に、エピソード記憶に媒介され、
記憶が蘇ってくることがあります。

その時の状況と、学習内容を同時に記憶することで

「ロシア革命=1917」という情報のみを単体で暗記しようとするよりも、
記憶の定着力が上がるというわけです。

覚えたい知識は、経験と紐付けて記憶する

意識してみてください!

ちなみに、
上記のように「何でも書きまくる」ノートのとり方は、

とにかく手を動かし続けているために
運動の要素も加わり、集中力が増すというのもおすすめの理由です。

(前々回の記事で「五感を使うと、脳の集中が切れない」という説明をしましたが、
目視するだけより、他の器官も使いながら勉強した方が記憶に残るからです。)

「エピソード記憶」を利用した学習法②新しい情報を、既知の情報に関連付けて記憶する

ノートやメモをたくさん取る以外にも、
「エピソード記憶」を利用した記憶法があります。

自分が既に意味記憶として脳内に定着させている情報と
新しく覚えたい情報とを関連させて記憶する

というものです。

以下で詳しく説明していきます。

新しい情報は、個人的な記憶に置き換える

たとえば

「1917年、ロシアでボリシェビキが武装蜂起をして10月革命が起きた。」

という情報を記憶したいとします。

1917年に実際に生きていた人以外、
これをエピソード記憶として保存するのは難しそうですが・・・

このような時は、他の「自分にとってできるだけ特別な記憶」に、
この情報を関連付ける
工夫をしてみると良いです。

たとえば、「1917年」のように年号を暗記したい時、
どのような工夫ができるでしょうか。

・・・数字の羅列って、ただ暗記しようとしてもすぐ忘れちゃいますよね。

しかしこれを、「今から約100年前」と言いかえるとどうでしょうか。
1917年より覚えやすい。

「現在は2019年である」という、
既に「意味記憶」として暗記された情報に関連付けることで、
新しい情報の記憶も定着しやすくなるというわけです。

となると、「10月」も
たとえば「お父さんの誕生日月に」とか、
「僕が運動会で負けてくやしがっていた、中3の10月。その100年前にロシアでは・・・」
みたいに、いったん個人的な記憶に置き換えて考えてみると良いです。

この方法を使えば、いったん情報を忘れてしまったとしても、
その時に関連付けた「ヒント」をたどって、思い出すことができます。

そうして「思い出す」ことを繰り返すことで、
記憶は定着していきます。

「意味記憶」のストックが増えてくると、今度は

「革命の約1000年前に、ロシアでは・・・・」
「ロシアで革命が起きていた頃、アメリカでは・・・・」

といった感じで、
数珠つなぎのように情報を追加していくことができて
これまた便利です。

単語の暗記は連想ゲームで乗り切ろう

また、「ボリシェビキ」のような、長くて覚えづらい単語についても
この記憶法を応用できます。

一気に覚えようとせず、まずは最初の2文字くらいを既に知っている単語と関連付けて覚えるのです。

「ポリバケツみたいな・・・」
「ボーリングみたいな・・・」
「ホリエモンみたいな・・・」

連想ゲームですね。

最初に単語を記憶しようと試みる時に、
似たような3つの単語を思い浮かべておくことで、
脳内で「ボリ」という2文字を引き出しやすい状態を作れます。

そして何度か「ボリ・・・ボリ・・・ああ!ボリシェビキだったか!」
と、「思い出す」行為を繰り返すことで、

そのうち「シェビキ」も覚えます(・∀・)

このように、 意味記憶は「思い出す」という行程を繰り返すことで、
定着していきます。

一発で、ぜんぶを丸暗記しよう!とすると難しいので、
次に思い出しやすいよう「ヒント」を用意しておく、
というのがこの暗記法のポイントです。

個人的な経験、切実な感情に関連させる

あとは、抽象化された情報のみを丸暗記しようとせず、
具体的な内容を調べて、自分と関連付けながら読むというのもコツです。

たとえば、先ほどの文を読んでも「武装蜂起」とは実際にどういう状態で、
どうしてそんなことになったのか・・・わかりません。

こんな時は、ググっても、資料集などを読んでも良いので
当時、ロシアの人々がどのような状況にあり、どのような行動を起こしたのか、なるべく具体的に説明している文章や映像を探してみましょう。

さらには、当時の人々の心情を想像したうえで
自分だったら、どんなふうに感じるだろうか・・・・
あるいは、自分はどんな時、武装蜂起をした人々と同じような気分になるか・・・・

なるべく具体的かつ個人的な経験に訴えかけ、
自分にとって切実な感情と関連づけながら読む

脳が「これは自分にとって大事なエピソードだ!」という判断をして、
記憶してくれます。

ちなみに、私は授業の時、この方法をかなり意識しています。

「たとえば、めちゃくちゃいばった先生に毎日因数分解ばっかりやらされて、1回でも欠席したら退学!みたいな決まりができたら武装蜂起したいような気分になるよね・・・
私なら、とつぜん給料をぜんぶ税金として納めなさいって法律ができたとしたら国を相手に武装蜂起したいかも。自分より権力のある人から不自由を強いられていて、それに意見を言ったり、抗議したりする手段が無いと暴力に訴えるしかなくなるからねえ・・・」

みたいに!

生徒さんたちが、自分と重ねやすいと感じてくれそうな具体例をあげながら、
たくさん喋ります笑

「エピソード記憶」を利用した学習法③新しく学んだことを、他の人に説明してみる

そろそろ「エピソード記憶を使って意味記憶をする」時のコツがつかめてきたでしょうか。

繰り返しとなりますが、

「意味記憶」が不得手な大人にとって、最も効率が悪い学習法は

「1人で黙々と丸暗記を試みる」ことです。

覚えたつもりになっても、すぐ忘れてしまうのが大人です(残念)。

1人で勉強をした内容は、わすれないうちに
「人に伝えてみる」のもおすすめです。
記憶が定着しやすくなります。

1人で勉強する

人に伝えるために、情報をわかりやすく自分の言葉で編集しなおす

情報を声に出す

伝わるかな?と緊張する

リアクションをもらう

こういった経験が脳に「エピソード記憶」として保存される時、
そこで中心の話題となった情報も、当然記憶されやすくなるというわけです。

ということで、デートで話題に困った場合には、
最近勉強した内容を相手に伝えてみましょう!

もちろん、ぜったいにわかりやすく、おもしろく、すべらない話にまとめてくださいね(о´∀`о)


・・・という感じで、人と会う前に自分の脳にプレッシャーをかけておくことで、
より強烈な経験として、脳内に記憶されることになるので
知識も定着するし、デートも盛り上がるし、一石二鳥です(^o^)/

まとめ

今回は「意味記憶よりエピソード記憶のほうが得意」という脳の性質を利用した学習法を3つ、提案しました。

  1. ノートには、覚えたい情報以外のことも書く
  2. 既に知っていることに関連付けて覚える
  3. 学んだことは他人に説明してみる

コツはとにかく、丸暗記をしようとしないこと。
試してみてくださいね(^^)